その他の漁法

ウナギカキ
ウナギカキ

ヤス漁

 

旧思川や巴波川などの一部には、川底に厚く泥土が堆積していてウナギがもぐりやすいところがあります。そのようなところでは、ウナギカキという特殊なヤスを使って漁をしていました。ウナギカキは、柄の部分を含めると長さが約4mもあり、一般のヤスとはずいぶん異なっています。舟の上から泥の中をめくらめっぽう掻いてウナギを引っ掛けるので、通称メクラカキといいます。春先には、田や川の浅いところにいるドジョウを石油ランプやキビショ(急須)に石油を入れて灯心を点けて照らしながらシノダケの先に縫い針より少し太い針を何本もつけた道具で川の中をたたいて漁をするドジョウブットシという特殊なヤス漁もありました。ドジョウブットシは、照明器具を使用するところからヒブリの一種でもあります。

ナガナ
ナガナ

ツリ漁

 

旧思川や旧巴波川で行なわれたツリ漁には、オキバリとナガナワがあります。釣りと言っても竿釣りではなく、オキバリはサゲバリとも言って1本の釣り糸に針を1つ付けて約1mほどのシノダケに結びつけたものでウナギやライギョを獲っていました。ウナギの餌はミミズで、ライギョの場合はドジョウの切り身や小魚になります。主に春先から夏にかけて行なわれ、夕方仕掛けて翌朝に引き上げます。ナガナワは、長さが50mもある主糸に約40本の枝糸の先に針を付けたもので、枝糸の間隔は1ヒロ半(1ヒロは大人が両手を広げた長さ)になります。餌は、春はヒル、夏はミミズ、冬は麦を煮たものを使用していました。ナガナの両端に竹竿や石を結んで沈めておき、冬はコイ、その他の時期には様々な魚が獲れました。

カイボリ

 

 かつて河川改修がお献割れる以前の下生井・白鳥地区には、大小様々な沼がありました。大きな沼としては、下生井に「十八年」「シブヌマ」「タテノヌマ」という沼がありました。そのような沼で11月中旬から1月頃まで田に水を上げるときに使うミズダルマを用いて水をかい出して魚を根こそぎ獲るカイボリが行なわれていました。大きい沼では、7、8人〜10人くらいの共同作業で行なわれていました。白鳥では、沼の持ち主以外の者がカイボリをする場合、持ち主と一緒にやるか、これらの場所の権利を持ち主から譲り受けて行なわれていました。また、地区共有の沼の場合は、地区の区長や評議員の立ち会いのもと入札を行ない、入札金は白鳥八幡宮で旧1月11日に行なわれる祭典費用にあてられました。

 また、2月頃の渇水期になると、渡良瀬遊水池にある大小の沼でバケツや発動機を使い、水を掻い出して魚を捕っていました。大きい沼は、所有者に沼金(使用料)を支払うことになっていました。朝10時頃から水面の氷を割って発動機で水を掻い出します。大きな沼になると2日かかることもあります。水が少なくなり、魚があらわれると女性や子供たちが網やバケツ、ボテ(竹製の魚を入れる器)を持って手伝いに来ます。収穫した魚は、選別して川魚屋に売った後に参加者で分けていました。

地引き網

 

農閑期の11月、12月になると旧思川で地引き網をする者もいました。網の両端のロープを舟に結びつけて1艚は固定して、もう1艚が網を広げながら円を描くように一回りしながら魚を追い込んで網を引き上げるとコイやウナギがよく獲れました。獲れた魚は、売って農家の現金収入になりました。

ジゴク釣り

 

5尺(約150cm)ほどの長さのシノ竹の根元をノメット(斜め)に切って、根元から一尺半(約45cm)のところに1m程度の水糸を縛り、その先に釣り針を付け、ウタロメメズを餌にして子供の膝から腰くらいの深さの川や沼の底に刺して一晩置いておく釣りの一種で、昭和35年頃にはナマズ、ウナギ、ライギョ、コイなどが獲れていました。

ポッカン釣り

 

3m〜5mくらいの真竹を長いまま竿に約1mの釣り糸の先に餌である生きたままのカエルを水面にポッチャンポッチャンと浸けて獲物を誘き寄せる釣りのことをポッカン釣りと言います。竿が重いため、この釣りは女性や小さな子供には難しく、旧思川ではライギョがよくかかっていたそうです。

トビツキ釣り

 

7月から9月の旧思川では、水温が上昇して魚が水面近くを泳いでおり、生きたままのカエルやドジョウ、雑魚を餌にして釣りをしました。トビツキ釣りは、夕方に仕掛けることや、用意する竿や糸などもジゴク釣りと同じですが、竿の先に糸を縛るところがジゴク釣りとの違いです。餌になる生きたままのカエルやドジョウ、雑魚などが、水面近くを動きまわり、ナマズやライギョがその餌に食らいついていました。