揚舟(あげぶね・あげふね)

水に浸かった村での交通手段としての備え

 生井地区の周辺は、洪水になると数日間は水がひきませんでした。そんな生活の中での知恵が、蔵などに吊るしておいた揚舟です。この揚舟は、洪水のような緊急時に人や食糧などを運搬するための一時的な移動を目的にしているため、船底は浅く、軽量化されており、米3 俵と大人2 人が乗れるくらいの積載能力があったと言われています。この地区の揚舟は、旧藤岡町新波村(にっぱむら)の舟大工の手によるものが多いようです。

 現在、生井地区で確認されている揚舟は、約45 艘あり、上生井地区に8 艘、下生井地区に21艘、白鳥地区に16 艘の揚舟が確認されていますが、今では、渡良瀬遊水地が整備され、洪水の被害も無く、揚舟を所有する家も改築や納屋を整理する際に保管場所などの問題で処分することが多く、減少傾向にあります。

漕ぐための櫂と水を掻き出す桶(白鳥)
漕ぐための櫂と水を掻き出す桶(白鳥)
村の名前が刻字されている揚舟(上生井)
村の名前が刻字されている揚舟(上生井)